家づくりをはじめる前に

より善き明日の家づくりを考える

住宅の設計は生活設計を考えることです

敷地選びは命の問題です
構造は寿命に関わり
間取りは暮ら方を左右し
素材選びは健康につながり
良きデザインは感性を磨き
設備は投資に似ています

家づくりは、これら全てに思いを込めて計画しなければなりません。

敷地選びは命の問題です

敷地の選択で生命の危機を招くこともある

私たちは、甚大な災害が起こるたびに大きな犠牲を強いられ、尊い命を奪い取られてきたにもかかわらず、同じ過ちを繰り返し続けてきた・・・何故だろうか?

被災者の声に「自分だけは大丈夫だと思っていた」とは、よく聞く話だ。

尊い命を守るには「自身の身に危険が迫っている」と早期に認識し、危険を回避する行動ができるよう身につけておかねばならない。

新築計画で敷地を選ぶ時には、災害が発生しにくい土地を選ぶことが、家族の命を守ることにつながる。幸いにも、国内ではハザードマップが充実しつつあり、土地の安全性、危険性を事前に知ることができる。

現実問題として、安全な土地は割高であることに間違いはない。土地の専門家が判断し、良好で価値がある土地に高値をつけることは、自由経済の国内では当然のことである。

割高の敷地では、新築時の予算が合わないかもしれない。しかし、住宅費用は新築時ばかりではく、新築後にも必要な経費が発生する場合が多い。新築時の予算を考える時、生涯資金とともに計画すべきであり、安全な土地は大きな財産となりうるが、危険な土地が被災すれば敷地としての価値は無くなる。

間違った敷地を選ぶと、何物にも変え難い「家族の命」を奪われるかもしれないのだ。

もし、ご自分で土地の良し悪しを判断できない時には、その土地に利害関係のない第三者に相談することをお勧めする。それは専門家でも良いし、その土地に長く暮らす方のお話も参考になるだろう。

構造は寿命に関わる

構造計画の良し悪しが住宅の強度と寿命を左右する

日本の高温多湿の気候風土に建築する家は、風通しのための開口部を自由に確保できる、縄文時代より受け継がれてきた柱と梁を主要構造材として構成される在来軸組工法あるいは木造伝統工法がふさわしい。

加えて各地の気象条件に合った断熱性能や風雨の対策を施した家を考えたい。

幸いにも、この高温多湿の気候は、木材の生育に適しており、住宅に使う木材は50年〜60年で建築用材になるといわれているほど恵まれた国であり、国内には建築用材として使用できる木材が十分にある。

木造住宅の唯一の欠点は、木材の腐食であると言ってもよく、最もその影響を受けるのが土台と柱の根本である。この部分を乾燥状態に保つ構造計画や使用する木材樹種の選定、施工方法を間違いなく行えば、建物寿命が長く震災時にも計算通りの耐震性能を確保できる。

間取りは暮らし方を左右する

間取りは敷地を生かし現在と将来の暮らしを考えて

間取りの『間」は生活空間の「間」とも言われるが、人間の「間」という考え方もある、辞書で「人間」と調べると、はじめに「世の中」「世間」とある。極端にいえば、生涯独身あるいは社会の最小単位である愛するパートナーと二人きりで暮らす住宅であれば、間取りは必要ない。

心地よい広さの空間、例えばフィリップジョンソンが設計した「グラスハウス」のように必要な設備や機能を配置した空間があれば良い。

このワンルームタイプの住宅であれば掃除は簡単、風通しも良く、室温差もなくヒートショックの心配もないと良い事づくめだ。

しかし、ここに家族が増え、友人などの社会が持ち込まれることになると、ワンルームというわけにいかず、間取りという名の仕切りが必要になってくる。

日本の間取りは、襖や障子など可動できる建具で仕切り、その時々の用途に応じて空間の広さを調整できた。

しかし、そこに世間の「間」が持ちこまれ、プライバシーの確保という名の空間を壁で仕切る必要が生じてきたものだ。

間取りは家族単位の暮らし方や敷地条件により、そのかたちは大きく変わり、逆に間取りは暮らし方に大きな影響を与える。

素材選びは健康につながる

日本の住宅は縄文時代から近年まで、木造が基本であり身近な自然の素材「土と木と草」を使い先人は、それぞれの素材を混ぜたり、加工したり、焼くなど知恵と工夫で適材適所に用いた。

それらは主に「草」と「木」「土」を基本とする素材であり小さな民家から豪邸、巨大な神社仏閣、お城まで建物の大きさに関わらず同じ素材を使い建築した。

草は、そのまま束ね縄で縛り屋根や壁の材料として、また圧縮して糸で縛り畳として、あるいは繊維だけを取り出し漉き襖や障子の紙として使われた。

木は柱や梁の構造材から、敷居や鴨居の造作材、床・天井の仕上材、家具材などなど太さや厚みを変えあらゆる場所に使われ、その心地よい温もりのある触感と、視覚的にもストレスを抑制する効果があることが実証されている。

土や漆喰は自由に変形でき意匠性も高く、固まれば調湿効果もあり燃えることもない。土は焼かれることにより長い年月、建物を風雨から守ってきた。

これら自然の素材は大量生産には向かないが、正しく用いることにより、有害な化学部室を含む合成樹脂を原料とする建材より経年劣化が少なく長い期間、快適な住空間を維持するに欠かせない。

参考:社団法人 全国林業改良普及協会刊:宮崎良文著「木と森の快適さを化学する」

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良きデザインは感性を磨く

良きデザインは感性を磨き楽しみが増す

アートとデザインの違いには、多くの意見が寄せられるところです。

住宅のデザインは、必ず説明できることが求められる、説明責任ですね!

どうしてこの形を選んだのか、なぜこのような納まりが必要だったのか、住宅のデザイナーにはデザインに対する説明責任があり、明確な説明ができなければならない。

しかし優れたアートが私たちの感性を磨き、本物を見分けられるようになることと同じで、優れたデザインの中で暮らすことにより自然と感性が磨かれることは事実。

デザインの優れた住宅といっても、何か特殊な材料や素材、高額なものを使う必要もない、一般的に建築される住宅と同じものを使い、同じ工程で造られる、多少違うのは各部分の寸法や納め方、バランスの違いだけである。もちろんデザインが優れているからといって、べらぼうに高額なることもない。

家づくりをするなら感性が磨かれるような優れたデザインの家に住みたい。

一言付け加えるなら、住まい手の暮らしを横に置き、アート作品として設計する住宅デザイナーや建築家も活躍していることは確かです。アート系住宅に暮らすなら、ご自身の暮らしを建築家に委ねるつもりで、設計依頼をしなければなりません。

設備計画は投資に似ている

最新の設備は投資に似て将来を見越す力が必要

多くの設備機器類にはエネルギーが必要で、耐用年数が決まっている。

メンテナンスや故障すれば部品交換が必要になる場合も多く、その都度、家計簿からの出費が求められます。

また、24時間稼働させるなら、毎日毎日、家計簿への負担が積み重なる。

あまりにも設備機器に頼る家づくりをすれば、エネルギー源が断たれた時には暮らせない、ただの箱家となる可能性もある。

設備機器類は、本当に必要なものを最小限に抑え、家計簿に優しく将来、必ず必要となる交換が簡単な先を見越した設備を住宅に取り入れておくことが、無駄な出費を抑えて環境の負担も抑えられる。

設備計画はある意味で投資に似ている。設備は時代の流行に惑わされることなく、無用の長物とならない選定が不可欠ですが、家族の暮らしや環境などをよく考え将来を見越した環境に対応できるよう、設備計画と機器類の選択を行わねばなりません。

健康住宅相談窓口

住宅の新築・増改築を考え始めたとき、誰に相談すれば良いだろうかとか、何から聞けばいいのかしら、家づくりのことをあまり知らずに、いきなり住宅会社や工務店に相談するのも、なんとなく不安を感じると、お考えの方、悩みを持っている方は、いらっしゃいませんか。

私たちは、住宅建築の第三の専門家としてまた、皆さまの立場に立ち、心と身体が健康で環境に優しい本物の家づくりのご相談とアドバイスをいたします。